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10/04/2010

20100830 風の払暁―満州国演義1― 船戸 与一

作中で次郎が言っていた「柳絮」という言葉が印象に残った。久しぶりに船戸作品を読む。気になっていたけど、長そうで、時代的にもややこしいので、ちょっと手が伸びなかった作品。それに、どうせ船戸作品だから最後はあーなるだろうな、ということが分かっていたので(笑)、後回しにしていました。
そして、やっぱり読了後が疲れた!(笑)どんよりした気分になります。そもそも、舞台となっている歴史が重いので、その史実(物語上での)解説を読んでいるだけで肩が重くなってきます。
残念な点は、人物描写のキレがなくなってきた事かな。最近の船戸さんの作品における登場人物、主人公の荒々しいが鋭い無気力感の描写が弱いように感じる。なんというか、丸くなって大人しくなった。なので、ストーリーのテーマが濃厚なのに、その濃さに人物がついて行ってなくて、やや物足りなさが残る。
贔屓目で読んでいても、最近の作品(2000年代半ば)はあんまり覚えてないのだよね。極端に言うと、残酷な描写シーンがキツくない!鋭さに欠ける…。
また、メインの登場人物達が敷島四兄弟なのだけど、これは当時のどのポジションからも見渡せるように配置したのかもしれないから仕方ないのだが、普段は一人もしくは二人だった船戸作品主人公が、四人に分裂して、その分性格付けが薄くなったような感じも受ける。四郎もどうなるのかな、船戸作品でこういう不安定、定まらない系人物をメインで持ってくるのはちょっと新鮮だけど、まだ現時点では掴めていないです。
どうも、長兄の太郎も次郎に似ているように思える。何かのきっかけで無気力系に転びそう。とはいえ、まだ第一巻なので、この先どういう描写されるのか分からないけど。でも、確実に四人は…(苦笑)。
そうそう、長編シリーズだけあって、舞台となる時代も長いし、作中の話のスピードが速い。あー、そういう点もいつもの船戸作品とは違うからちょっと濃さが物足りないのかも。